同業者飲み会

今日は東京古書会館で開催の「和洋会古書展」の初日。いつものように多数のお客様にご来場いただきましたが、当店の売上げはいま一つ。忙しかったこともあり新規商材の投入が不十分だったことが原因かと。売上に貢献しているのは新規投入した商品ですし、手を抜いた分売上が下がった感じ。催事は短期決戦のシビアな世界であることを痛感しました。
閉場後、出店者の皆さんと飲み会。ある先輩業者のお話が面白かったです。その方は大学卒業後、全くの未経験で他の職業にも就いたことがないのにいきなり古本屋を開業され、当初は全く商売についてもわからないし、相場がついている商材は先輩業者の壁が高くて仕入れられない。しかし図書館の分類法は1000通りもあるわけだから、その中にはまだ付け入る隙も少しは残っているであろうと考えた末、当時はまだ業界ではゴミ扱いされていた漫画に、これはと思ったものに高値をつけて売り始めたそうです。同業者からは、値段のつけ方が常軌を逸しているだの、古本屋商売を馬鹿にしているだのと批判を受けたそうですが、そうこうしているうちに漫画の評価が高まり、結局は自分が付けた以上の相場になったとのこと。他人に何を言われても、自分の価値観を曲げずにやってきた者が、最終的には生き残るということを力説されていました。それと、自分に枠を嵌めない方が良いと。うちは専門分野がこれだからそれ以外はやらないというのは勿体ないとのことです。稼いでいる人は、堅い専門分野を持っていても、それ以外の商材でもしっかり商売をしているという実例を教わりました。そしてその分野は、本にこだわる必要もないと。今後、古書店と骨董・道具商、美術商との境目はますます曖昧になっていくであろうから、自分と相性のある分野だったら果敢に挑戦した方がよいとのことでした。
さて私はいまだ隙間を模索している最中。なんとなく目星をつけている隙間が果たして使えるのかどうか、正念場であります。