『古本屋五十年』

古本屋五十年 (ちくま文庫)

古本屋五十年 (ちくま文庫)

東京都葛飾区堀切で古本屋を営む青木正美氏が、自身の古本屋稼業の軌跡をまとめた本。建場(古紙回収業者の集積場)廻りや業者市でのあれこれなど、興味深い話が満載で楽しめました。


あの反町茂雄氏が1991年に亡くなる3ヶ月前、青木氏にこのように言ったそうです。
「青木さん、欧米にはそれぞれの専門分野を扱う『古書店』は存在してますが、もうとっくに、日本にあるような『街の古本屋』はないのですよ。日本も遠からずそうなることを、あなたに言っておきます」
「貧しかった日本でこそ、何でもかんでも『本は大切なもの』という教育が必要だったのですよ。それが『街の古本屋』を今まで生き永らえさせましたね。でも本当に大切な本など、何千冊何万冊のうちの一冊、二冊なのですよ。そしてね、今の日本はもう決して貧乏国ではないのです!」


この言葉をどのように受け止めるか。古本売りで生計を立てている端くれとしては、難しい宿題を与えられた気がしました。
日々、実践を積み重ねながら、その答えを出せるまで力をつけていきたいと思います。