ブックオフがどこまで目利きを導入できるか

そろそろ、本の中身を見て判断する、いわば、「質」の部分を視野に入れる時期に入ってきたとも思っています。

これまでのブックオフは、買い取りの際にも販売の際にも、「きれいか」、「汚いか」で判断してきた。どの出版社の、どういう本で、初版本だから値打ちがある、というような判断は一切省いた仕組みです。既に値打ちが認められている本や、一部の人に確実に需要がある本に関しては、ブックオフで100円で買って、ネットで売る「背取り屋」と呼ばれる人たちも存在しています。

ブックオフは、「その本」を望む人に、適切な価格で届けられるようにすることに取り組んでいく必要があります。そのためには、本の目利きが必要になりますね。これまでのスタッフとは違ったスタッフが求められる。人材の育成の課題です。

目利きができるスタッフづくりをするとなれば、そのスタッフにはできるだけ長く働いてもらわなければ難しいと思いますが、それが、現在のアルバイト中心の雇用形態で可能なのか。それともそういうスタッフは正社員や契約社員にしていくのか、それにともなう人件費上昇を目利きした本の売り上げで吸収できるのか。それともバイトにもできる目利き方法を開発するのか……と考えると、その辺の課題をどのように克服していくのか、興味のあるところです。


私見ですが、目利きシステムが導入されたとしても、それをあれだけの大組織で貫徹することはできないような気がします。職人技を導入するには、それなりのコストがかかるからです。大組織でも導入できる「ある程度」の目利きにとどまるのではないでしょうか。したがって、寸分もせどる隙がなくなるという事態は起こらず、今後も個人せどりが生き延びる余地はあると思います。現在でも、CDやDVDなどで、一部で相場に連動した値付けが導入されているにもかかわらず、依然としてせどりは成立していますから。