古本屋開業入門

古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ

古本屋開業入門―古本商売ウラオモテ

古本屋開業指南本といえば、昨年6月17の記事で紹介した『街の古本屋入門―売るとき、買うとき、開業するときの必読書』がありますが、内容の基本はいまでも有効なものの、なにぶん書かれたのが20年くらい前の本でした。現役の古書店主が書いた本格的な開業指南本としてはそれ以来のものです。この5月に発売したばかり、もちろんネット売り、せどらーについても触れられています。


著者は喜多村拓氏、青森市林語堂店主です。


冒頭からいきなり、古本業界の厳しい現状が語られています。安易な気持ちで経営できるようなものではないということです。内容は経営方針の定め方、仕入れ・目利きにの方法論から本の清掃の仕方まで多岐にわたり、終章の「おわりに一言」は「それでもあなたは古本屋をやろうと思いますか」で締められています。


印象的だったのが40ページの「売れ筋の読み」と222ページの「古書業界の展望」という章でした。ネット古本売りも競争激化していく中で、生き残っていくためのヒントが隠されているように思いました。ここが読めただけでも、買った甲斐があったというものです。


せどらーの動向については、なかなか厳しい目で見られており、細かい点では意見なしとしないところもあるのですが、大筋では痛いところを突かれたなあという感じです。ただこれも、どうせやるなら本と真っ正面から向き合ってほしいという先輩からのメッセージであると受け取りました。


一時しのぎと割り切ってせどりをされている方には、不快になるかもしれないので、むりにお勧めはしませんが、真剣にせどりで喰っていこう、古本売りをしていこうという方には必読文献といえるでしょう。