FBA

うちがFBAを利用し始めてから、3カ月経過しました。5月から6月にかけて460冊ほど送り、うち180冊ほど売れました。約4割といったところです。送りさえすれば何もせずに、売上だけ計上されていくのは、確かに愉快なものです。でもいろいろ検討した結果、今後は基本的にはFBAは利用しない、いま預けているものは当分そのままにしておくが、返送に手数料がかかるようになったらその時点で引き上げる、一度に大量の入荷があって、どうしても出品が追いつかない場合は補助的に使う可能性はあるが、できるだけ自出品でいくということにしました。


最大のネックは、手数料です。FBAをはじめたころに、手数料の具体的数字を紹介したとおり、高額商品ではそれほど気になりませんが、低額商品になるほど手数料の割合が高くなります。FBA出品当初にうれた1000円程度の商品だと、代行業者への手数料をあわせると売値の4割が手数料になります。これでも高額ですが、まあすぐ売れたから仕入れ値を引いてもある程度の利益は出ますが、これが長期在庫になると、保管料がかさむことになり、赤字になる可能性もでてきます。うちの商品は回転が悪いものが多い、あえて回転が悪いものでも安くしいれて時間をかけて売るというスタイルの商品が多いので、このまま本格的にFBAに移行したら保管料貧乏になること確実です。あと手元に商品があれば、急に現金化したい場合に、出品取り下げてブックオフや古書組合の市場へ持ち込むことができますが、FBAだとその辺臨機応変に対応することができません。あと感覚的な問題ですが、手元に在庫がないという違和感をぬぐい去ることができませんでした。ここのところ、アマゾン側のFBAの受入体制が混乱していますが、在庫を預けておきながら自分ではどうすることもできない状況があり得るということを目の当たりにした思いです。


自出品商品との売れ方の違いですが、当方の在庫に関しては、あまり体感することができませんでした。比較的ランキングの高いものを中心に送ったので、自出品だろうがFBAだろうが、売れるものは売れるといった受け止めです。FBAメインの方に聞くと、自出品より売れ行きが良いという意見が多かったのですが、やはりこれもそういう方と当店の在庫構成の違いがあるのでしょう。高価格かつ回転が速い商品をメインであつかっている出品者が、FBAの恩恵を最も享受しやすいようです。


うちはアプレックさんのFBA出品代行サービスを利用しました。うちにとっては何の不満もなく、トラブルもなく快適に利用できました。ただ代行業者は複数ありますが、業者と利用者とのサービスレベルの認識の違いから、トラブルが起きている例もいくつか聞いています。例えば「可」レベルの商品を「非常に良い」で出されて返品になったとか、本の清掃がきちんとできていなかったとかといったことです。代行業者を利用する方は、最初はお試しで少なめに送って、その業者が自分と相性が良いかどうか確認してから、本格利用した方が良いかと思います。


うちはネット売りに関してはほぼ100%マケプレで、どっぷりとアマゾンに依存しているわけですが、それで6年間、依存していることに対して違和感を抱くことはありませんでした。でもFBAをやってみると、これはアマゾンへの依存度が、実際にも心理的にも半端でないなあと感じ、このまま依存してしまったら危険だぞという気になってきました。保管料の問題もそうです。それに送ってしまいさえすれば、注文が入れば自動的に発送されて入金されるわけで、すごく快適なわけです。それに嵌っていくうちに、利益が出ているのか、手数料貧乏になっているのかが一見してわからない、きちんと計算して検証しないとわからない状態になっていきそうなのが怖いです(エーブックさんの日記でも、保管料が売上を超える日で書かれてますね)。それに加えて、売れた現物を見ることがない。自出品だったら、売れた本をピッキングしたり梱包したりで必ず手にします。特に覚えようとはしなくても、売れた本の記憶は何となく残るので、後で同じ本に出合ったときに思い出すものですが、FBAで売れたものは、余程のものでない限り、そういう覚え方はしていないです。私は結構、感覚に頼って仕入れすることが多いので、その感覚が鈍るのはかなり脅威です。


このようなわけで、私はFBAから距離を置くことにしましたが、これはあくまでも私の場合の結論です。FBAじたいは売る側にも買う側にも画期的サービスだと思います。FBAの特性を見極めて上手に利用すれば良いことです。私とは相性がよろしくないなあというだけの話ですので。ただ今後とも積極的に利用されていく出品者の方には、FBAを利用しても利用されないように気をつけていっていただければと思うばかりです。