即売会は儲かるのか

リブロ池袋古本まつり、当店は参加3回目にしてようやく1日平均売上10万円を超えることができました。即売会は商品準備、目録作成、搬入搬出、店番等々の手間を考慮すると、商売として利益をきちんと出すためには1日10万円以上の売上が必要というのが私の考えです(もちろん即売会の形態や品揃えによって、また店によって採算ラインは変わってきますが)。ところで1日10万円の売上をつくるのにネットと即売会どちらが楽かといえば、それは圧倒的にネットのほうが楽です。とくにアマゾンだったら出品すればあとは放置していても、いつかは売れたりします。せいぜい価格改定すればよいだけのこと。在庫のテーマを決める必要もなく、いろんなジャンルの商品が混ざっていても片っ端から出品すれば済みます。即売会の場合は、まとめ買いを期待するなら在庫を特定分野にしぼるなどの工夫がいります。ジャンルがバラバラだと棚の見栄えもよくありません(実は当店の課題はそこに…)。見栄えを良くするためには、採算度外視で目玉商品を仕入れておくということも良く聞く話です。持っていった商品の4分の1が売れれば上出来なので、売れなかった商品の処遇を考える必要もあります。同じ即売会に再び出しても売れないので、他の即売会に使うか、値段を下げるか、ネット用にするか、市場に出してしまうか、いっそのこと廃棄処分にするかと行き先を仕分けしなければなりません。このように即売会にかまけていると、ネットの出品がおろそかになり、油断するとすぐ普段の売上が落ち込みます。そこまで手間をかけても苦戦している同業者も多いです。組合に入る人は増えても、即売会に参加しようという人はなかなか増えません。それは道理な話です。

ではなぜうちが即売会をやっているのかといえば、ネット売りでは味わえない刺激がある、それにつきます。お客様や同業者との交流については昨日書いたので、今日は売れた商品の話を。今回のリブロの売上の4分の1は、昔の鉄道生写真アルバムでつくったのですが、これはもちろんアマゾンでは売れないし、ヤフオクだったら売ることができても、今回売ったのと同じ値で売るには、複数の入札者で競り合う状況にならなければ難しかったでしょう。こういうネットで売りにくいものをきちんとした価格で売ることができるというのが大きな魅力と感じました。実際、ネットにくらべて参入するハードルが高いので、真似されにくく、ある特定の分野では他の追随を許さないという同業者が何人もいます。そういう同業者の中には1日平均30万円くらい売る人も。中には古書会館の即売会で2日間で300万円売るという同業者もいます(ここまでくるとレアケースですが、2日間で100万くらいなら複数います)。即売会は手間が大変と書きましたが、これも慣れてしまえば何とか克服できる性格のもの。そして参入するハードルにしても、アマゾンやヤフオクで売り始めるのと比較しての話に過ぎず、一般的に即売会は辞める業者にくらべて参入する業者が少ないので、まずどこかの即売会に入り、そこで頭角を現せば、すぐに大きい即売会にお呼びがかかるようになります。うちも即売会をはじめてわずか1年でリブロ池袋古本まつりに参加できましたが、古本市全盛の時代には考えられなかったことです。業界でも落ち目と思われている即売会、本気で古本を売ろう、ライバルに差をつけようと思うなら、ある程度の手間を惜しまないのでしたら意外に狙い目かもしれません。