『貧乏暇あり―札幌古本屋日記』

貧乏暇あり―札幌古本屋日記

貧乏暇あり―札幌古本屋日記

札幌市のネット古書店「古書すがや」さんのブログ「須雅屋の古本暗黒世界」を書籍化したもの。すがやさんのブログが始まったのが私のブログとほぼ同時期で、同じはてなダイアリーであることもあり、当初から読み続けていました。天気、食事の内容、マックスバリューで何をいくらで買って郵便局でいくら下ろしてという具合に生活の記録が淡々と描かれ、かつ起きる時間寝る時間が浮世離れしている暮らしぶりを読んでいると、私が20代後半にトラックの運転手をしながら一人暮らししていた頃の昼夜逆転の生活を思い出され、世間と接点があるんだかないんだか、まさにあれは「浮遊しつつ流されてゆくモノトーンな日々」だったなあと切なくも懐かしくさせる不思議な魅力をもった日記であります。本の冒頭にはすがやさんの自宅アパートの見取図が掲載されているのですが、誇張でなく足の踏み場もないほど本が置かれている状態にも仰天。うちなんかまだかわいいほうだと思ってしまいました。時折出てくる詩歌文学ネタも、さすが専門分野とあって秀逸。余談ですが、1箇所、私も登場しています。読んでみた方は是非探してみてください。アマゾンではちょくちょく新品品切れしていますが、すがやさん自身が直販もしています。