せどり老人さん関連のコメントへの返事です

5月31日付けのコメント欄へのせどり老人さんの長文コメント、ならびにそれに関連した賛否両論の皆さんのコメント、ともにありがとうございます。ちょっと長くなりますので、こちらで私の見解を書かせていただきます。


まず、せどり老人さんが二度にわたり詳細なコメントをいただいた件につきましては、単なる自著の宣伝にとどまらない、せどり老人さんの思いがとても伝わるもので、私としては嬉しく読ませていただきました。当然、読者の皆さんの中には他人のブログで長文のコメントはいかがなものかと不快な思いをした方もおられたようですし、実際そのようなコメントもいただきましたので、その点につきましては受け止めますし、申し訳ないとは思います。ただ万人受けするブログにするのはどだい不可能ですし、意見の違いから反感や不快な思いをする読者さんがいたとしても、当方が伝えたいと思ったことは掲載するという方針でやっていますので、その辺はご容赦願いたいと思っているところです。「メールで直接かぴぱら堂に伝えれば良いではないか」というご意見もいただきましたが、私としては是非皆さんにも読んでもらいたい内容でしたから、長文のコメントにもかかわらず、削除することなく掲載いたしました。


せどり老人さんから、私の考え方について2点ほど妄想というか(笑)想像をいただいていますので、折角の機会ですから回答させていただきます。
まず、ブログを続けている理由として「「せどり」という行為に社会的「市民権」を与えたいと考えておいでになるのではないでしょうか」とのことですが、私はそこまで大それたことは意図しておりません(笑)。一般的にせどり行為は法的にも道義的にも違法脱法行為でないわけですから、それ以上の市民権などはあってもなくても構いません。ただ残念に思うのは、一部のせどらーの間に、必要以上にせどりを卑下する傾向があるように見えるところです。それでお金を稼いでいるのだったら堂々とやればいいし、格好悪いと思うならばやめればよいわけです。みっともないと思いながらずるずると続けているのが一番格好悪いと思いますが、そういう思いでせどりを続けている人がいるということ自体が私の妄想であることを願うばかりです。私にとっては、せどりも買取も組合の市での仕入れも全て同列な位置づけになっていて、どの方法が偉いか偉くないかというのは一切ありません。


次に組合に入った理由として「経済的理由からではなく精神的理由から古書組合にお入りになったのではないかと
思っております。理由は実に単純でせどりという仕事の孤独に疲れたか倦んだからでしょう」と推測されていますが、これも当たっているような当たっていないような微妙な推測ですね(笑)。入った理由は、第一義的には経済的理由です。せどりでは手に入らない本を入手するためと、買取が増えてきてマケプレ向きでない本の扱い量が増えてきたため、それの売却先として組合に入りました。ただ、せどりだけでは孤独というのも当たらずとも遠からずです。せどり主体の時代から、せどりグループのオフ会などで同業の方とお会いする機会もたまにはありましたので、全くの孤独というのはありませんでした。しかしながら古本の仕事を専業にすると決めたときから、やるのだったらとことん究めようという思いはありまして、そのためには古本業界の最高峰である神田の市場に出入りできる身分になり、そこで優れた実績をあげておられる先輩方からいろんなことを学びたいという思いがありました。神田に通い始めたのは今年に入ってからですが、それで受けた刺激というか衝撃は予想以上のものがありまして、その辺の高揚した思いが、ブログへの記事にも反映して、せどり老人さんがそのように受け止められたのも無理からぬことかなと思いました。


私は基本的に一般的な人付き合いが苦手ですので、そういう意味ではせどりは性に合っています。ただこれは他人との関係を一切断ちたいということではなく、むしろ共通の土俵に立っている人たちとは深くつきあっていきたいという欲求があるので、せどり仲間とか組合員同士の付き合いというのがちょうど居心地がよいというのはありますね。まあそういうのを馴れ合いという向きもあるのでしょうが、実際は(とりわけ組合員については)商売上の関係ですから、シビアな面も多々あります。その辺も含めて刺激になって良い感じになっています。売り買いではライバル、でもそれから一旦離れたら情報交換したり無駄話したり、この一見矛盾した関係が共存していることにより、古本売りのモチベーションを維持する原動力にもなっています。


せどりをやられている方には、リアルなせどり仲間もいずに、本当にひとりでやられている方も多いと思います。例えばアマゾンで障害が起きて、売上が下がったりしたら本当に不安になりますね。そういう皆さんにとってささやかなりとも情報交換の場になればと思い、当ブログのコメント欄もこのような運営をしているところですが、不安な気持ち等も含めたフォローの場になるには限界があります。幸い私の場合、アマゾン売り主体の組合員の知り合いもいますし、その中には10万冊以上の出品をされている方もいらっしゃるので、そういう皆さんにいろいろ聞くことができます。またそういう皆さんは、情報をたくさん持っているので、障害で一喜一憂せずにある意味達観しているようにも見受けられますので、私も安心するのです。ですから、せどりを続けるならばリアルなせどり仲間をつくることをお勧めしますし、ましてや専業でやるのでしたら、組合も含めた同業者のネットワークは物心両面の支えになります。これを機会にリアルな人脈の有用性というものにも目を向けていただければと願います。通りすがりさんから「管理人さんも最初は試行錯誤していたわけで、このようなせどり動向に一喜一憂していたはずです。手放しで喜べないせどらーの心情も理解できる方だと思いますが。」というご意見をいただきました。仕入れ手段が複数になったいまでも試行錯誤の連続ですし、一喜一憂もしますよ。うちは収入源が古本販売だけで自分と家族を養っていますから。ただそういう不安をいささかなりとも和らげられる環境にいることで救われていることも確かです。参考になるかどうか分かりませんが、ご返事代わりに触れさせていただきました。