来たれ新規参入

TBS系列のテレビ番組「がっちりアカデミー!!」で、せどりが紹介され、たそがれ親父さんが出演したことについて、れんぽんさんブログの2月4日付コメント欄などで賛否両論飛び交ってます。以前よりマスコミに取り上げられる度に、かつては私のようにせどりブログを書く行為を含めて「新規参入を煽るようなことをしないで」という批判が繰り返しでてきました。心情的には理解できるのですが、せどりのような参入障壁が低い商行為は、広まるのは時間の問題です。現在せどりをしている方の大部分は、私も含めて他の人がやっているのを見て始めているわけですから、自分が参入するのは良くて、自分以降の人には参入してくれるなというのは道理に合わないでしょう。また私達は、発送手段についてはヤマト、佐川、郵便の競争のおかげで、複数の選択肢の中から便利な手段を選ぶことができます。売り先についても、アマゾンマーケットプレイスに対抗する古本販売サイトの登場を待ち望む声も出ています。自分が消費者の立場では競争を歓迎するのに、供給者の立場になると一転して競争を回避したがるのも自分勝手な言い分に聞こえます。


私は、せどりが広まって、新しい人が参入してくるのは大いに歓迎です。私が始めた2004年当時とくらべると、新規参入して結果を上げるハードルは格段に高くなっていますから、そのような厳しい条件のもとでも結果を出す人のやり方を見るのは、とても刺激になります。それによって自分のレベルも上げることができます。私が始めた頃は、携帯サーチもなく、105円本を適当に仕入れてくるだけで簡単に定価の半額以上で売れていきました。いまではマケプレ相場1円本になっている何でもないような定価1500円程度の本でも、たまたま他に出品者がいなかったために5000円程度のプレミア価格で売れることも珍しくなかったものです。しかし、その頃と今とをくらべると、今のほうがやっていて楽しいのは、高く売れる本を探すのに工夫が要るようになったぶん、見つけたときの喜びが大きいからかもしれません。また、インチキ高額本が売れなくなったぶん、売れる高額本は本当にレアな商品であることも、やり甲斐を大きくしているでしょう。新規参入がない業界は、衰退の一途をだどるものです。古書組合にしても、新規加入者が多いところほど活発に活動し、商売上も結果を出している人が多く、市場に出る荷物も多い傾向にあります。かつて一部の古書組合では、近所に競合店がある新規加入希望者を拒否し、裁判沙汰になったこともあると聞いたことがありますが、それが果たして正しかったのかどうかは、その後の歴史が証明しています。せどりの新規参入を拒否できたとしたら、引き換えに既存せどらーの商売上の体力が減退することでしょう。ましてや、専業だったら、せどり以外の仕入れ方法をいくらでも開拓できる環境にあります。せどりをするにしても、広範囲の店舗を廻るなど、新規参入者にはいますぐ取り組みにくいことでもできるわけです。せどり以外の仕入れ方法に取り組むことで得られたノウハウを、せどりに生かすことだってできるのです。それなのに、普段行かない店舗を開拓することもせず、せどり以外の仕入れ方法を試すこともせずに、せどり仕入れにくくなったと嘆くのは、私にとっては不思議でなりません。


あと、マケプレ内の競争でいえば、せどらー同士で競争しているというより、イーブックオフなどに代表されるような大口出品者と競争する場面のほうが格段に増えているでしょう。出品者の頭数でいえば確かにせどらーのほうが多いかもしれませんが、総出品数でいえば圧倒的に会社組織でやっている大口出品者の出品物のほうが多いでしょう。せどらー間の競争ばかりに目を奪われていると、大きな流れを見誤ることにもなりかねません。そうした大海の中で競争していることを自覚した上で、大手ではできないこと、他の出品者にはできないことは何かを考え、実行していくことで、個人出品者の勝機はまだまだあると考えます。是非、実力のある新規参入の方が増えて、私達に刺激をあたえていただきたいと思います。