低料第三種郵便の悪用は可能か?

5月3日付のコメント欄で物議をかもした、心身障害者低料第三種郵便物の件、書籍発送に悪用できるか検討してみました。
まず心身障害者低料第三種郵便物は、その認可を受けた印刷物の発行元でないと差し出せません。また差し出す都度、内容見本の提出を求められます。また、その認可を受けた印刷物が実態を伴っているかどうかの審査も定期的に実施されます。これらは2009年に日本郵便が発表した「心身障がい者用低料第三者郵便物の不適正利用に関する再発防止策の実施」に、具体的な取扱方が記載されています。
この通り運用されていれば、荷姿からしてまちまちになりがちな一般書籍を紛らわせるのは、事実上難しそうです。
以前、この制度の悪用された内容は、心身障害者低料第三種郵便物の認可を受けた雑誌の内容が、事実上ダイレクトメールになっていて、認可の要件を失っていたことが問題になったというものです。第三種郵便物の認可すらうけていない印刷物や書籍を不正に送ったという事例は聞いたことがありません。
また低料に限らず、第三種郵便物は開封するか、透明封筒にて、内容物に記載された「第三種郵便物認可」の文字が容易に確認できるようになっていなければなりません。私が郵便配達をしていた経験上から言っても、第三種郵便物は一目でそれっぽくなっている場合が多いので、ちょっと荷姿がらしくない場合は確認したものですが、第三種郵便物で一般書籍を送ったという例は見たことがありませんし、そういうことがあったと問題になったという話も聞いたことがありません。
投稿者の「ブックオフオンラインファンです。」さんは、料金について「自己発送の送料が本業の関係で30円(福祉関係)です。しかも2.5センチ以内」「新書サイズの送料は22円」と書いていますが、そもそも心身障害者低料に限らず第三種郵便には、サイズの上限はあるもののサイズ毎の料金体系は存在せず、重量別の料金体系になっています。そもそも22円という価格帯が存在しません。また、ゆうメール(旧冊子小包)やゆうパックにあるような、契約者と個別の料金設定をする特約制度は存在しません。実際、わたしがこのことで突っ込みを入れて以降、投稿は途絶えました。
そのようなわけで、心身障害者低料第三種郵便物を一般書籍の発送に使うことは極めて困難であり、投稿された数字の不自然さからみても、これは「釣り」であると判断しています。