被災地古書店の模索

日本古書通信」5月号の「古本屋大陸」に、私の連載2回目が掲載されました。いまアマゾンでは一時在庫切れになっていますが、版元在庫はありますので、じきに復活すると思います。

今回の特集が「被災地古書店の模索」と題して、福島県宮城県古書店・業界の現状と、この春オープンした茨城県土浦市の古書モール「つちうら古書倶楽部」の様子がレポートされています。各店再起して努力しているものの、特にリアル販売に関しては厳しい状況が続いているようです。福島県楢葉町に自宅がある古書店主は、昼間だけ自宅に帰れるもののインフラは全て停止しているうえに、原発事故はいまだ収束せず放射能の脅威も続いているもとでは生活できる状況ではないと、震災時新築3ヶ月だった自宅を捨てる決心をしたとのこと。胸が痛みます。東京五輪招致を「震災復興の象徴に」という向きもあるようですが、現地の状況は、いまだにそんな生やさしいものではないということです。

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かぴぱら堂古本即売会参加予定
●和洋会古書展(神田小川町・東京古書会館)
2013年5月24日(金)・25日(土)
●中央線古書展(高円寺・西部古書会館
2013年5月25日(土)・26日(日)
●仙台パルコ第1回古書市(仙台パルコ)
2013年6月7日(金)〜18日(火)
●リブロ池袋本店夏の古本まつり(西武池袋本店別館2階西武ギャラリー)
2013年7月31日(水)〜8月7日(水)


骨董屋さん訪問

今日は昼前より外出。栃木組合の理事長と、組合加入希望者の店舗見学へ。店内を見せていただきつつ、今後の営業方針などを歓談。それから、その方の紹介で、近くの骨董屋さんへ。絵画と陶器がメインの店なのですが、店主の趣味で集めた古本や紙物もかなりの量をお持ちで、そちらを整理したいとのご要望。古書組合の市場に委託出品していく方向で話がまとまりました。
そのお店は商品に値札がついていません。なぜなら、金額の安い高いだけで買ってほしくないからとのこと。本当に欲しいと感じた商品に、価値に見合った対価を納得して払える人に売りたいそうです。安く買い叩こうとする客は、クレームも多いとのこと。高価な物を買う人は気持ちよく買っていく。思わず納得してしまいました。

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かぴぱら堂古本即売会参加予定
●和洋会古書展(神田小川町・東京古書会館)
2013年5月24日(金)・25日(土)
●中央線古書展(高円寺・西部古書会館
2013年5月25日(土)・26日(日)
●リブロ池袋本店夏の古本まつり(西武池袋本店別館2階西武ギャラリー)
2013年7月31日(水)〜8月7日(水)


せどりの将来性を案じても仕方ない

今更になって思うのですが、せどりが大変だから買取をはじめれば、あるいは市場仕入れをすれば打開できるのかといったら、そういうものでもないんですよね。もちろん例外もあるとは思いますが、例えばせどりで月商50万円稼いでいる人が、月商100万円目指すために買取だの組合加入をするというのは大いにありだと思いますが、せどりで月商5万円で留まっている人が買取や市場仕入れをはじめても結果をだすのはなかなか難しいでしょう。逆に言うと、最初の入口が買取であろうと市場であろうと、50万稼げる人は稼げるし、稼げない人は稼げないということです。
せどりが厳しくなったといっても、他の仕入れ方法と難易度が並んだに過ぎません。今後もせどりで喰っていくことは可能だと思います。買取や市場仕入れと同様にです。仕入れ方法に優劣はありません。ただ、どの仕入れ方法をとろうと、古本売買だけで喰っていける人は限られた数に留まるということです。せどらーは専業が少数で、圧倒的に兼業の人が多いでしょうが、古書組合員ですら兼業している人が少なくないのです。先頃、関東各県の組合員にアンケートを採ったら、県によって差はありますが、全体の20〜30%が兼業、県によっては、兼業率50%のところもあるほどです。せどりの将来性を案じても仕方ないし、古本業界の将来性を案じても仕方ない。でも古本の需要というのは確実に存在するのですから、どのように生き残るか考え抜き行動し抜ける人だけが今後も喰っていけるというだけのことです。

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かぴぱら堂古本即売会参加予定
●和洋会古書展(神田小川町・東京古書会館)
2013年5月24日(金)・25日(土)
●中央線古書展(高円寺・西部古書会館
2013年5月25日(土)・26日(日)
●リブロ池袋本店夏の古本まつり(西武池袋本店別館2階西武ギャラリー)
2013年7月31日(水)〜8月7日(水)


低料第三種郵便の悪用は可能か?

5月3日付のコメント欄で物議をかもした、心身障害者低料第三種郵便物の件、書籍発送に悪用できるか検討してみました。
まず心身障害者低料第三種郵便物は、その認可を受けた印刷物の発行元でないと差し出せません。また差し出す都度、内容見本の提出を求められます。また、その認可を受けた印刷物が実態を伴っているかどうかの審査も定期的に実施されます。これらは2009年に日本郵便が発表した「心身障がい者用低料第三者郵便物の不適正利用に関する再発防止策の実施」に、具体的な取扱方が記載されています。
この通り運用されていれば、荷姿からしてまちまちになりがちな一般書籍を紛らわせるのは、事実上難しそうです。
以前、この制度の悪用された内容は、心身障害者低料第三種郵便物の認可を受けた雑誌の内容が、事実上ダイレクトメールになっていて、認可の要件を失っていたことが問題になったというものです。第三種郵便物の認可すらうけていない印刷物や書籍を不正に送ったという事例は聞いたことがありません。
また低料に限らず、第三種郵便物は開封するか、透明封筒にて、内容物に記載された「第三種郵便物認可」の文字が容易に確認できるようになっていなければなりません。私が郵便配達をしていた経験上から言っても、第三種郵便物は一目でそれっぽくなっている場合が多いので、ちょっと荷姿がらしくない場合は確認したものですが、第三種郵便物で一般書籍を送ったという例は見たことがありませんし、そういうことがあったと問題になったという話も聞いたことがありません。
投稿者の「ブックオフオンラインファンです。」さんは、料金について「自己発送の送料が本業の関係で30円(福祉関係)です。しかも2.5センチ以内」「新書サイズの送料は22円」と書いていますが、そもそも心身障害者低料に限らず第三種郵便には、サイズの上限はあるもののサイズ毎の料金体系は存在せず、重量別の料金体系になっています。そもそも22円という価格帯が存在しません。また、ゆうメール(旧冊子小包)やゆうパックにあるような、契約者と個別の料金設定をする特約制度は存在しません。実際、わたしがこのことで突っ込みを入れて以降、投稿は途絶えました。
そのようなわけで、心身障害者低料第三種郵便物を一般書籍の発送に使うことは極めて困難であり、投稿された数字の不自然さからみても、これは「釣り」であると判断しています。