アマゾンで売れる本をなんでアマゾンで売らないか

どうしてBOが(もしくはリアル店舗の古本屋)が、アマゾンのほうが高く売れる本をみすみす安値で店頭で売ってしまうのか。そういう本はより分けてアマゾンに出品した方が良いに決まっているから、それにBOが気が付いて実行するようになったら、せどりができなくなるのではという意見を聞くことがあります。また組合の市場でアマゾン向けの本の山が出品されることについても、自分で売った方が儲かるのになんで市場で売ってしまうのか、どうせ出がらしなんだろうという疑問も出てきたりします。もちろん出がらしの場合も少なくないですが、即売れ本の山も現実に出品されています。でもこれらは不思議でも何でもなく、それはそれで合理的行動であるということを、自分が組合市場や古本催事で売るようになって心底実感できるようになりました。


例えばアマゾン向けの本を買取で1万冊仕入れる機会があったとします。買取単価を100円とすると仕入れ値は100万円。アマゾンに出品した場合の出品単価を1000円とすると出品総額は1000万円になります。しかし出品するのに1日500冊ずつしたとして全部出品するのに20日かかります。これはかなりの手間です。もちろん全部売り切ることは困難です。これを市場に出せば、単価300円くらいで落札が見込めますから、落札総額は300万円。これが1日で手に入ります。自分で売るより利幅はかなり下がりますが、たった1日で換金できるのは魅力です。良質な仕入れがたくさんあれば、いちいち自分で売るのが面倒になってくるのも分かります。


リアル店舗の商品化にしても、BO方式だったら、同じ時間に処理できる数はアマゾンに出品する場合の数倍は見込めるでしょう。そこにアマゾン相場をチェックしてより分けるという行程を入れたら、作業効率は半分くらいに落ちてしまうかもしれません。売れた場合の手間も、リアル店舗のほうがはるかに楽です。ですからアマゾン相場より安く売って利益率は相対的に低くても、数が捌けるぶん利益額は増えます。


人は誰でも自分の方法が一番効率がよいと思っているから、他店のやり方が効率悪く見えてしまうことはよくありますが、立場や状況が変われば最善の方法も変わるものです。